80億分の1人としての、たわいもない日常を記す

Heritage Seed

patiroma2008-11-27

「大地は親からゆずり受けたものではない。子供たちから借りているものである」 ケニアのことわざ

これは最近興味を持っているHeritage Seedについて調べていて見つけた言葉。この簡略な言葉が意味するものは深く、それぞれの人間がこのことわざのような自覚を持っていたら、現代世界に蔓延する諸問題の多くが解決されるのではないか?とさえ思えて来る。

さて、Heritage Seed。要は植物の多様性を無視し、人間様の都合の良いように交配・改良を重ねた種子ばかりがマーケットを占め、個々の植物が持っていたはずの本来の匂いや味、強さを失いつつあることに危機感を持ち、在来種の保護と育成を行なう活動から生まれた在来種子のことを言う。特に野菜を中心とした在来種の保護は西欧諸国で活発に行なわれており、大勢のボランティアがそれぞれの家庭菜園で絶滅の危機にある種子を育て、またお互いに種子交換などをして活動の輪を広げている。
確かにホームセンターなどへ野菜の種を買いに行くと、『タキイ』『サカタ』といった国内大手企業の種子が多く並んでいて、そしてなぜか日本在来種と思っていたものが原産国を見るとアメリカなどとなっていて、国内で生産された種子はほとんど無い。これは世界の種子市場の約20%のシェアを上位3社の巨大企業が牛耳り、あくまでも市場向けに『売れる』種子だけを改良・育成し販売しているからで、このまま行けば『売れない』種子は見放されついには絶滅してしまう。たしかに種子を買うものにとっては耐病性があり、多収穫の改良品種はぜひとも選びたいものだが、そもそもこういった種子は一代交配種であり品種の特性は一代きりのもので、同じ収量を望むならもう一度種子を買うしかない。これこそ種子開発企業の思う壷でこういった負の連鎖から遺伝的に多様性が失われ品種が単調化して、結果的に病気や気候の変化に弱い品種ばかりになってしまう。こうなってからでは在来種を取り戻そうとしても既に絶滅し手遅れなのだ。

いま日本でHeritage Seedにどの程度の関心と活動が行われているのか分からない。これから調べて行こうと思っている。
子供の頃に食べた青くさいトマトの味。そして、どうだ!と言わんばかりの人参やピーマンの味。最近の野菜はどれも味や匂いがあまりしないと思いませんか?我が家庭菜園で穫れたトマトですらおとなしい味だと思う。あのトマトの味をまた探し求めたい。どこかにまだ種はある筈だ。その種を播き、味と香りを繋ぎたいと思う。