80億分の1人としての、たわいもない日常を記す

愛すべきハマよ・・

patiroma2012-06-11

シリアの情勢には心を痛めている。この混乱が民主化への痛みだとしても、その犠牲の大きさと残虐さは容認できるものではない。しかも最近の状況は民主化要求というよりも、長年政権を牛耳りその権益を欲しいままにして来た少数派であるアラウィ派と、多数派であるスンニ派との宗派間対立の様相を呈して来ており、もはや内戦状態だ。
僕が今から13年ほど前シリア中部の都市ハマにひと月以上滞在していたことはここで何度か書いたが、そのハマ近郊のクベイル村ではアラウィ派の民兵による凄惨な虐殺事件が起きて、子供と女性を含む55人以上が無慈悲にも殺された。彼らはシリア政府の言うテロリストなどではないことは殺された幼児や子供達の映像を見ても明らかだ。これは気が狂った奴らによる処刑そのものだ。
僕と妻はハマに滞在中、仲良くなったムスタファの村に招待され、妻は結婚式に参加し、僕はイスラム教の聖者の眠るモスクに案内され『イスラム教徒にならないか?』と誘われたものだ。この時の楽しく貴重な体験は忘れ難い。そしてこの村はハマからバスに乗ってしばらく行ったまさに『ハマ近郊の村』であり、例の虐殺の村では・・と当時のメモを調べてみたらクフェルゼータという村で違っていた。違ってはいたが、同じような素朴な村で今回のような事件が起きてしまったとは信じ難い。クフェルゼータ村では僕達の滞在中に村長のカハリールさんがわざわざ尋ねて来て、『遠い所からよく来た!』と歓迎してくれた。そんなのどかな所なのだ。内戦はこのようなのどかな村まで容赦なく巻き込みながら混迷を深めている。もはやアサド大統領が退陣したとしてもこの混乱は収まらないだろう。パンドラの箱は開け放たれてしまった・・心優しきシリアの人々に平穏な日々が一刻も早く訪れることを切に、切に願う。