80億分の1人としての、たわいもない日常を記す

茶番

 アメリカ議会下院の議長選が難航していたが15回目にしてようやく決着がついた。議長に選出されたのは当初の予定通り共和党マッカーシーで、ここまでの混乱が続いたのはひとえにマッカーシーの人望の無さによるものだ。共和党にしてみれば身内の内紛でもあるので今回の件についてはあまり触れられたくはないだろうが、有権者には議長をすんなりと選出できなかった共和党に対して不信感が増したと思う。また、今回の件ではっきりしたのがトランプの影響力低下だろう。トランプが造反した強硬派議員にマッカーシーに投票するよう呼び掛けても無視されるなど、もはや大統領選を争える影響力は持ち合わせていないようだ。それはそれで良い傾向と言える。

さて、下院議長に選ばれたマッカーシーだが、彼がなかなか選出されなかった理由も分かる。彼はただ、下院議長になりたかった。それだけの人物だ。大統領・副大統領に次ぐ権力を持つ下院議長の座にどうしても座りたかった。それが保守強硬派に見透かされていたから、彼らの要求を呑ませるために利用されたに過ぎない。強硬派議員にしてみればこんな容易い取引はないだろう。だって自分たちが譲歩する必要などないからだ。マッカーシーを焦らせるだけ焦らせておけば要求を呑むのは分かっていたからね。最終的にマッカーシーがどこまで譲歩したのかは当事者以外には分からないだろう。それが怖いところだ。

結局のところトランプにしろマッカーシーにしろ、本当に国のためを思って行動しているわけではないのだ。彼らにとっては自分の権勢欲を満たすことが最重要なことであって、国民がどうなろうと知ったことではないのだ。でなければこんな茶番が起きるはずはない。アメリカの政治も日本同様年々劣化しているのは確かなようだ。