80億分の1人としての、たわいもない日常を記す

はらぺこあおむし逝く

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はらぺこあおむしなどの代表作があるエリック・カールさんが亡くなった。91歳だった。

我が家にも妻が子供の時に買ってもらったものと、その後娘たちのために買ったもの、それに日本語版のものを合わせて3冊のはらぺこあおむしがあり、その他の彼の作品も数多く持っている。彼のシリーズに子供が引きつけられるのはそのシンプルなデザインと豊かな色彩だろう。非現実的な色彩ながらも違和感を感じさせない、むしろその物語にさらなる彩りを添えるようで、娘たちのために読んでいても楽しい絵本だった。

亡くなられたのは残念だが、彼の作品は今後もずっと残り、子供たちに愛され続けるだろう。もはや絵本の定番とも言えるはらぺこあおむしが羽化し、美しい蝶となって羽ばたく場面に彼は何を込めたのだろう。アメリカで生まれ、第二次世界大戦のドイツを経験し、その後アメリカに戻った彼の人生は決して平坦ではなかったはずだ。あの色彩の豊かさはひょっとすると何かを覆い隠すために必要なものではなかったのか、彼の作品に何か物悲しさを感じるのはそのせいなのかもしれない。

やすらかに