80億分の1人としての、たわいもない日常を記す

冬至に現れし者

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冬至

この日から陽光は回復へと向かう。そんな日の朝に現れた者があった。

朝、いつもの様に仕事へ向かう準備をしていると妻の姿が無い。三女に聞くと、一足先に自転車で駅に向かった長女から弱り切った子猫がいるので助けてやってほしいと連絡があったという。しばらくすると妻がその子猫を連れて戻って来た。子猫と言っても生後半年ほどのメスの幼猫で、ガリガリに痩せ細り、長女が見つけたときはずいぶん前に車に轢かれて干からびたカエルの死骸を食べようとしていたという。保護猫のシェルターでボランティアをしていた長女にとっても捨て置けないことだった様だ。保護した幼猫を馴染みの病院へ連れて行き検査をしたところ、ヘルペスには罹っているが寄生虫などは大丈夫とのことだった。肝心の猫エイズの検査はもう少し体力が回復してから行うということで、それまでの間我が家にいる猫との接触は避けねばならず、そのためのケージを貸してくれた。我が家が野良猫を保護し連れて行くのはこれで4匹目で、獣医も心得たもの。こういった保護猫に対する診療代をずいぶん安くしてくれるのも、この獣医を頼りにする理由だ。ほんとありがたい。

今はケージをバスタオルで覆い暖かいリビングに置いているが、中を覗いても威嚇することもなくおとなしいもの。目つきを見ても気性は荒く無い方だと予想される。心配していた我が家のシャムの行動は意外なもので、確実に匂いで見知らぬ猫がいることは分かっているはずなのに、ほとんど気にすることもなく無視している様子。庭に他の猫が来たときはものすごい剣幕で追い払いにかかるが、どういうわけかこの猫には目立った反応を示さない。弱り切った幼猫であることを把握して気遣いを見せているのだろうか・・まさかね。

それにしても冬至の朝に猫を保護するなんて何の因縁だろうか。不思議なものだと思う。