沖縄が復帰してから50年が経った。新冷戦と言われる時代になってもなお日本にある米軍基地の70%が沖縄に集中しているという現実は変わらない。沖縄の負担削減という観点からの米軍基地の国内移設は昨今の世界状況を考えると机上の空論でしか無い。むしろ中国の台頭と台湾侵攻へのリスク、たび重なる北朝鮮による弾道ミサイル発射などの挑発、それにウクライナに侵攻したロシアの存在などなど米軍の拠点が沖縄にある重要性が高まりつつある状態だ。
沖縄の基地負担は減らした方がいい。それは当然だ。そもそも基地なんて無くて済むならそれに越したことはない。ただ、今回のウクライナのように何の非が無くても一方的に攻め込んでくるような国に対し米軍がそこにいるということは大きな抑止力となっている。中国・ロシア・北朝鮮との緊張関係が続く限り日本は沖縄の米軍を必要とし、米軍もまた米国本土防衛のための最前線基地として沖縄から去ることはない。たとえ将来日米安保が解消され、米軍が日本から去るようなことがあっても、その時は逆に日本の軍隊が米軍の基地を利用し居座り続けることになるだろう。そうなった場合、沖縄の基地面積は削減されることになると思うが嘉手納基地が抱えるような根本的な問題は軍がスゲ変わっただけで解決にならないと思う。
沖縄の抱える悲劇は常に歴史の袋小路に追い込まれてしまうことだ。逃げ場の無いどうしようもない立ち位置に追い詰められ、犠牲ばかりを求められる。その犠牲に対する対価があればまだしも、犠牲は常に搾取され続けてきた。
地政学的な重要度が増す中で真剣に沖縄の基地がどうあるべきかを話し合わなければ、来る将来の国防のスキとなりかねない。まず国は押し付けでは無く対等に話あう姿勢を示さねばならない。残念ながら話はそこからだ。