80億分の1人としての、たわいもない日常を記す

独裁者の末路

 反体制派指導者のナワリヌイ氏が収監されていた辺境の刑務所で死亡した。ロシア政府は血栓症を原因とする突然死だったと公表しているが、遺体の引き渡しはされておらず、死因を確認する術はない。そもそもロシア政府の発表が事実であるなら、遺体の引き渡しを堂々と行い西側諸国による司法解剖を受けて立証すればいいだけのことだ。それをせず遺体の引き渡しを拒めば当然その死因を疑うことになる。つまり邪魔者なので暗殺されたということだ。ロシアではプーチンに盾突く者は次々と殺されるか失踪しており、プリゴジンもその一人だ。大統領選を控えるプーチンはナワリヌイを葬り去ることでその権力の絶対性を示すつもりなのかもしれないが、歴史上に現れては消えていった数多の独裁者たちと同じ轍を踏んでいる。もはやこれは『権力病』とも言えるほどにこの病に罹ると似た様な行動をとり、そして最後には身を滅ぼしてゆく。なぜこんな単純なことを繰り返してしまうのか不思議でならないが、それこそが権力の持つ恐ろしさなのだろう。いまプーチンの行動を諫める者は無く、ロシアは確実に滅びの道を歩んでいる。独裁の行方が崩壊しかないことを知っているにもかかわらずそれを止めることができない何か、人間の性の様なものがあるのだろう。とにかくたった一人の強欲者のためにあまりにも多くの人が命を落として来た。その大きな怨嗟が解放される日が近いことを望む。